重大事件の判決に大きく関わる裁判員にあなたがなるかもしれません。

 

最終評議

審理が全て終わると、最終評議に入ります。

 

 

 

 

最終評議では、有罪・無罪、有罪の場合は被告人をどのような刑にするかまで決めることになります。

 

評議の進め方は個々の事件の裁判長によりますが、はじめに審理の感想などの意見を裁判員に言ってもらうことが多いようです。

 

評議の内容は、被告人が起訴状に書かれたことを本当に行ったのかどうかを証拠に基づいて話し合っていきます。

 

証人や被告人の話、物証がどこまで信用できるかなど、1つ1つ議論を行います。

 

議論の後に、裁判長は有罪か無罪かの評決をとります。

 

意見がわかれるときは多数血になりますが、裁判員のみで被告人に不利な判断をすることはできません。被告人を有罪にする場合、裁判官及び裁判員の双方最低1人の意見を含まなくてはなりません。

 

有罪無罪の判定例

裁判員・・・裁判員(6名)  裁判官・・・裁判官(3名)

有罪の意見が過半数に達していない
有罪の意見 無罪の意見 判断
裁判員裁判官裁判官裁判官 裁判員裁判員裁判員裁判員裁判員

無罪

有罪の意見が過半数だが、その中に裁判官が含まれていない
有罪の意見 無罪の意見 判断
裁判員裁判員裁判員裁判員裁判員裁判員 裁判官裁判官裁判官

無罪

有罪の意見の数は過半数で、裁判官と裁判員双方の意見を含む

有罪の意見 無罪の意見 判断
裁判員裁判員裁判員

裁判官裁判官

裁判官裁判員裁判員裁判員

有罪

 

多数決で無罪が決まった場合、評議はすべて終わりです。

 

有罪の場合は、被告人をどのような刑にするか議論していくことになります。

 

まず裁判官がパネルに書くなどして、法律で定められている刑の種類や範囲を説明し、裁判員には今回と同じ罪で同じような要件を満たす事件の刑について傾向を見たグラフが配られます。

 

その後、どのような刑にするか議論が始まります。被害感情、情状などを考慮して様々な観点から被告人にどのような刑がふさわしいのか話し合っていきます。

 

量刑についても意見がまとまらなければ多数決で評決します。

 

ここでも裁判官と裁判員双方から最低1人同意していることが条件となります。

 

意見がバラバラになった場合、全体の過半数かつ裁判官・裁判員の最低1人を含むまで被告人に最も不利な重い刑に、次に重い刑を足していきます。そしてその中で最も軽い刑を結論にします。

 

量刑判断の例1

どの意見も裁判官と裁判員を含む過半数に達していない
懲役6年 懲役4年 懲役2年 懲役1年
裁判員裁判員裁判官 裁判員裁判員 裁判員裁判員 裁判官裁判官
被告人に最も不利益な懲役6年の意見を懲役4年に足す
懲役4年 懲役2年 懲役1年
裁判員裁判員裁判官裁判員裁判員 裁判員裁判員 裁判官裁判官

⇒結論:懲役4年

 

量刑判断の例2

どの意見も裁判官と裁判員を含む過半数に達していない
死刑 無期懲役 懲役15年 懲役10年
裁判員裁判員裁判員裁判員 裁判員 裁判員裁判官裁判官 裁判官
被告人に最も不利な死刑の意見を無期懲役に足す
無期懲役 懲役15年 懲役10年
裁判員裁判員裁判員裁判員裁判員 裁判員裁判官裁判官 裁判官
続いて無期懲役の意見を懲役15年に足す
懲役15年 懲役10年
裁判員裁判員裁判員裁判員裁判員裁判員裁判官裁判官 裁判官

⇒結論:懲役15年

 

これで被告人をどのような刑にするかが決まります。

 

最終評議が終わると、裁判官3名は判決の主文と理由の要点をまとめた骨子を作成するため評議室を離れます。

 

この間裁判員は休憩します。

 

裁判官が戻ってきたところで、判決の骨子を裁判員全員の前で読み上げてこれでいいですか?と確認じます。

 

判決はその日のうちに行われる場合と翌日に行われる場合があり、その日のうちに判決言い渡しが行われる場合は、裁判員も再び法廷へ向かうことになります。

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